数日前だったか、スマホのニュース配信を見ていたら、「雨雲の中で反物質が生成されている」というニュースが流れていた。ポジトロン(陽電子)だったか。僕の大学の35年近く前の卒業論文は、「ポジトロンCTによる、脳内代謝の解析」で、ポジトロンと聞いて、妙に反応したし、「え?そんなに反物質って身近だったの?」という驚きがあった。
臨床工学の国家試験対策の授業で、ちょうど「ポジトロンCT」の話で、ポジトロンって何?ってところで、かなり細かい話をしながら、そのニュースの話をしてみた。いや、仕入れた話題は、すぐに口にしてみたくなるもんです。不思議な性(さが)。僕の学生時代の先生たちも、結構ポップな話題を授業中されていたような記憶があって、この程度の脱線は許されるのじゃないかと、自分的には思っている。
で、口にしてしまった後、ふと思った。いや、僕は学術論文でその話題を読んだ訳じゃない、ニュース配信で読んだだけで、こんなに気軽に話をしてしまっていいのか。もしもこれがフェイクだったら、どうするつもりだ、と思ったもんだから、「まさか、フェイクニュースじゃないとは思いますけど」と、一言だけ付け加えておいた。
このフェイクニュースが厄介だ。だって、「ローマ法王が、トランプ大統領候補に支持を表明した」なんてニュースを実際に読んだ時に、「マジかよ」と思った。なぜ、バチカンの法王が、アメリカ合衆国の大統領選に「支持」を表明?っていうか、確かに、内政干渉になることは百も承知で、自国の国益に対して不利益としか思われない他国の大統領候補に対しては、何らかの発言が流れて来る例はあるけれども、だって、バチカンでしょう?
???だった頭が、数ヶ月後に、「あのニュースは、フェイクだったと判明しました」というのをさらなるニュース配信記事で読んで、そうだろな、と思いつつ、その「配信されたニュース」がフェイクでない保証は一体どこにあるんだ?とも思った。
それにしても、面倒臭い時代になったもんだ。簡便さには、それなりのリスクがつきまとう。
ニュース性は、「情報量」だと思う。情報量の多いニュースは、拡散しやすい。「ビットコイン」の名称で有名な、情報量の単位の「ビット」は、確率現象から定義されている。0か1か、いわゆる「半か丁」か、「表か裏か」という二律背反の現象、生起確率が1/2の現象で、「0」か「1」か、確率は同じはずだけれども「1」でした、という情報が伝わった際に、その生起確率(P)を用いて、-log2(2を底とするlog)P = 1を求め、それを1ビットとすると、定義されている。だから、確率1000分の1(厳密には1024=2の十乗分の1)の現象が起きたという情報なら、その情報量は、-log2(2を底とするlog)2のマイナス十乗だから、10ビットになる。逆に「今朝、太陽が東から上りました。」という情報は、確率100%(=1)だから、情報量は-log2(2を底とするlog)1で0ビット、もし「太陽が西から上りました。」なら、確率0だから、情報量は無限大になる。いわゆる大ニュース。で、そういう「大ニュース」ほど配信する価値があるというか・・・(すみません、WordPressでは、下付き、上付きの文字修飾ができなくて・・・)
それにしても、「ローマ法王が、トランプ・・・」は、今にして思えば、「よく、こんなフェイクを思いつくよなぁ・・・」というあたりに落ち着く。あり得ないこと、情報量が大きい。これが一過性の現象なら、無視してもいいにしても、一過性ではなく、こうした情報が流れ続けるならば、それなりの対策を考えなければならないんだろう。
ニュースは、「正当なニュースサイト」が配信するだけではない。もっと言えば、悪意を持ってフェイクを流す人が少なくないのがインターネット社会だとしたなら、やはり、フェイクをどう見抜くかは、大切な問題だと思う。
そうなると、いずれは時間の問題で、クラウド上に分散しているビッグデータを分析して、ある「情報」がフェイクであるか、「ファクト」であるかを判定するAI(人工知能)もいずれは登場するだろうなと思った。
そうした人工知能は、おそらくはまず、ニュースの配信元のサイトのIPなどを調べて、ニュースソースの信憑性を判断するだろう。次に、公的機関(対立するケースもある)の発信する「情報」を確認するだろう。さらに、学会サイトや、中立性の高い団体などの情報を調べ、その上に、膨大な「当事者情報」を検索すると思う。その際に、その「当事者」の「当事者資格」も調べるに違いない。例えば、前述の「ローマ法王」のニュースならば、それが、バチカンの側近の発言として伝えられたなら信憑性は高くても、誰がどうやってその「発言」を耳にしたかまで調べれば、あるいは書いてあるかないかも読み解けば、(無論、そのサイトが真にバチカンの側近のIPなのか、までも調べた上で、)最終的に「信憑性」を数字として出して来る、そうしたAIは、必ず必要性に迫られて、実現して来ると思う。10年もかからないと思う。5年くらいで実用化するかもしれない。
どういう書き方をすべきか悩んだが、感じたままに言葉にしてしまおうと思う。どこぞの国が「売春婦記念日」を国の祝日として制定した。我々が知りうるあらゆる「事実」をベースに考えたなら、そうなる。ところが、「事実」なんて関係ないという国もある。日本人や中国人が普通に使っている「漢字」は、「我が国が発明して、中国に伝えたものである」と、主張している国があって、それが事実かどうかは、中国人に聞いて確認してもらうこととして、(いや、その類の主張は、その国では数え切れないほど学校で教えているらしいが・・・)そのどこぞの国では「売春婦記念日」を別の言い方で、世界に「配信」しているらしい。日本人が標的のフェイクだから、僕らにしてみたら、実に厄介な話だと思う。
普通の人は、簡単にフェイクを信じる。ただ、いつかきっと、そうしたAIが登場することを信じて、今できることは、「ファクト」の積み上げだと思う。ファクト(事実)がフェイク(虚偽)を産み出す実例は、例えば売春婦像を作り続けたというファクト(事実)が、その売春婦は売春婦ではないというフェイクを産み出したようなケースだろうか。それでも、時代背景を考えることのできるAIは、必ず登場すると、私は思う。
例えば、大阪府(大阪市?)がサンフランシスコと友好姉妹都市提携を打ち切った、という「ファクト」がもしあるならば、それはニュース性は高いと判断され、それなりに重みを持って「判定」されるに違いない。
日本政府が、全てのフェイク行為に対して「抗議」を積み重ね続ければ、それも「ファクト」として残る。
すぐに結果が出なくても、相手がアメリカだろうがイギリスだろうが、毅然たる態度で、必要ならば有効姉妹都市提携など打ち切るという態度を取り続けることが重要だと思う。
いや、官僚集団なんて、天下りしか考えていなくて、そんな「波風立てるような面倒臭いことをしない」こともあって、明らかに抗議すべき行為に対しても、何らのアクションも起こさなかった時期もあるのかもしれないが、そんな過去のことを口にしても仕方ない、これからが大切だと思う。
あるいは、人口数万人の○×県△□市なんていうレベルになると、そのとある国の都市と友好姉妹都市提携を結んでいて、市会議員が公費で旅行したいがために、わざわざ出かけて行って売春婦像に花を手向けたりもしているかもしれない。我々からしたら、フェイクの追認だけれども、そういう裏切り者は、いつの時代だっているって。無視するしかないだろうな。人口数万人の○×県△□市のニュースに対してAIが、「重要な判断材料ではない」と判断してくれることを願うだけだろうか。田舎もんなんて、そんな程度だとAIが判断してくれることを祈る。
え?東京にもそんな都市があるの?そりゃぁ、ねぇ。所詮東京だって、「お上りさん」たちの子孫で出来てる都市だから、田舎もんの子孫の集合体でしょ?(ってことは、東京よりも大阪の方が、格が上だってなことになるのかな?いや、この発想は、あまり論理的じゃないな。)
例えば、当時のことを伝える新聞記事も、直接関係する部分だけを取り出したニュース記事をネットに流しても、いわゆるビッグデータとしてはそれほど価値は高くない。その広告を含む紙面全部を、AIが検索可能な形でネットにだす、それも、公的に信頼性の高い期間が掲示することが大切だと思う。歴史的な事実に対する信憑性の確認に対しては、周辺状況の時代背景も考慮されることになる。むしろ、そうした記事が一度でも掲載された新聞記事は、全てがネットで検索可能となることが望ましいに違いない。
一事が万事で、「事実」が大切ならば、徹底した情報公開以外に「フェイク」を追放する手段はないかも知れない。
今の段階では、全世界に対して、世界中の「人」に対して、フェイクはフェイクであることの抗議を伝え続けることが大切だと思うけれども、そうした「ファクト」は、いずれビッグデータの一部となって、「フェイク」が「フェイク」と判断されるための重要な材料になると思う。
人間は、時系列的な矛盾など気にしない。計数的な実現不可能性も気にしない。断片的な情報を総合的に繋げる能力もAIには劣るかもしれない。それでもまず、人間相手に「ファクト」を、一次資料に基づいて主張し続けて、あとは、AIに頼るしかないのかも知れない、という気がする。でも、いつか「フェイク」は「フェイク」であることが、万人に認められる時が来ると信じたい。
それにしても、と思う。国民的に「フェイク」を教育し続ける国って、一体どうなっちゃうんだろうか。AIを上回るビッグデータの処理能力を持った「天然知能」を持った国民的な英雄の登場を待つことになるんだろうか。他人事ではあるけれど。
蛇足:一旦「下書き」でアップしてから、誤植を修正しようと思っていたら、3900件の(承認待ち)コメントがついたページがあって、慌てふためいて、そのコメントを消して、フィルタを設定する作業を1時間ほど挟んでしまい、その間誤植だらけのままで、うっかりこのページを「公開」してしまっていた。その3900件のコメントは、全部バイアグラのサイトへのリンク。本当に、面倒臭い世の中になった。フェイクとか迷惑行為が横行する世界。そういうのは、とにかく一刻も早く全部駆逐されて欲しい。「過渡現象だ」と思いたいけどなぁ・・・。迷惑行為のボットを吐き続けるサイトのIPは、世界的に監視して封印して欲しい。