情報戦

1990年代前半、インターネットが成立する前、パソコン通信が「情報交流」の主流となっている時代があった。私はNifty Serveを使っていたけれど、他にも何社かあった。
興味のある分野の掲示板には、かなり専門性の高い方々の参加もあって、活発に活動する掲示板サイトもあった。文字中心の文化。そんな賑やかな掲示板(イタとか言ってたかな)には、決まって顔出ししてくるグループがあった。

北朝鮮の文化は素晴らしい。ユートピアが、そこには・・・的な書き込み。複数の掲示板に参加して、おそらくは組織的に、計画的に、同志を勧誘する目的があったのだろうと思う。金日成による「情報戦」だったのだろうと思う。
従軍慰安婦は、当時の共通認識は売春婦だったにも関わらず、済州島で強制連行があった、という出版があったのは、その少し前?だったのかな?時期的には重なっていたと認識している。僕の20代前半から後半にかけての時代だった。(もう少し前かな?)外に出て、人にあったりすると、中には朝鮮半島出身の方もいて、僕の電話帳にはそうした数名の名前もあった。韓国はまだ軍事政権で、北がユートピアだと信じている人たちもいたのかも知れない。部分的には、その「情報戦」は成功していたのかも知れない。オウム真理教に染まり、未だに麻原彰晃に心酔している人がいるように、その人は金日成様のために、伝えられたままに済州島で強制連行された人たちが従軍慰安婦になった、と、本に書いたのだろう。

後日、その本の内容を検証するために、本に書かれた場所で聞き込みをした人が書いていた。「そんな事件は起きていない。」もし、そんなこと(日本軍がトラックで来て、住民の若い女性を連れ去った、という事件)が起きていたら、誰もが知っているはずだけれども、そんな話は聞いたこともない。その検証記事が出てから、震源となった本を書いた人に疑いの目が向けられ、あの「強制連行」はでっち上げだ、とやっと「公式」にも認められるようになったにもかかわらず、まるで都市伝説のように、未だに強制連行という言葉がメディアには出てくる。そう信じてしまった人の疑いを解くことは、オウムの呪縛を解く以上に難しいのかも知れない。金日成の狙いが、日本に北朝鮮のシンパを作ることだったのか、日韓の分断だったのかはわからないけれども、後者だとしたら、今になってようやっと蒔いた種が巨木になろうとしている。

同じ時期、韓国の軍事政権は、韓日請求権協定の内容を公知する訳でもなく、ひたすら日本の「悪行」を教育で刷り込んだ。目的は、おそらく非難の矛先を軍事政権から逸らすためだろうと思う。憎悪があれば、共通の敵があれば、多少の困難は乗り切れる。中国政府がよくやる「反日運動」で、相当に話が盛られた「史実」が意図的に広められたりする。

ボスニア・ヘルツェゴビナの紛争の時は、民族浄化「Ethnic Cleansing」というキャッチコピーで、世界にその「蛮行」が伝わった。のちに、そのEthnic Cleansingという言葉は、広告代理店に依頼してキャンペーン(そもそも、このCampaignという言葉は、軍事行動を意味すると理解しているが)用に考え抜かれた言葉だったらしい。どちらがどちら、だったか思い出せないけれども、「相手国の蛮行」を全世界に訴えるために、この「民族浄化」という言葉が全世界を駆け巡った。終わってみれば、どっちもどっちじゃないか、と思う。
戦争なんて、始めること自体が野蛮でしかないが、特定の民族を劣ったものと決め付けたり、憎むべき敵だと決めつける行為は、いつ戦争が起きてもおかしくない土壌を醸し出す。

北朝鮮の日本での情報活動は、おそらく、いずれ来る南北決戦の際に、韓国の後方(日本)を撹乱し、あわよくば、日韓を分断することが目的だったのだろうと私は考える。

1988年5月、僕は、スピード違反で捕まった後、片側3車線の道路の速度規制が40km/hなのはおかしいと、公安委員会に噛み付いた。時を同じくして、警官が銃で打たれる事件があった。この時代背景で、僕の手帳には朝鮮系の人の名前が何人かあった。そして私は早稲田出身。公安にとって、マークするべき条件は整っていたんでしょうね。そして、あの盗聴・盗撮が始まった。私の私生活をリークして、何か、面白いことありましたか?どんなにパフォーマンスをしても、吉本興行には負けてると思うんだが・・・。多少つまらなくたって、僕は一円ももらってないんだから、いいじゃない。

南北が融和しようとしている今、ようやっと金日成の「情報戦」は花開いて、「偉大なる勝利」を獲得したのだろうと思う。そして、日韓が分断すれば、いや、分断しなくても、この状況で日本が、北朝鮮を支援しようとする韓国に対して、何らかのバックアップをする、ということは極めて困難になり、日韓を完全に切り離すことに成功した見返りとして、韓国を通じた北朝鮮への経済的なバックアップは全面的に不可能になった、ということなんだろうな。金日成氏も、その後の日本がこれほど経済的に発展するとは予測しなかったのかも知れない。

韓国の軍事政権が受け取った補償金は、労働者ばかりではなく、北に対する補償も含めたものだったと理解している。韓国の歴代政権は、この途轍もない「時限爆弾」を軍事政権から引き継いだことになるのだろう。原資なんてとっくに使っちゃった。さて、どうしよう。
唯一無二の解決策は、「そんな補償金はなかった」と思い込むこと。そして、日本にもそう思い込ませること。なのだろうな。自分でそう思い込んでいるから、だから、嘘をついているという自覚はかけらもない。「1年前に、確かにお前に100万円、貸したよな。」「気のせいでしょ」「この証文をよく見ろ。お前のサインだ。」「そんなのは、でっち上げだ。」こういう論争だと思う。そして、韓国は「強制連行:をでっち上げだとする日本が嘘をついていると、本気で信じている。金日成の高笑いが聞こえそうだ。

こういう「情報戦」は、ある意味で、日本が一番苦手な分野かも知れない。

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