内政干渉

ベネズエラの紛争で、アメリカがグアイド氏を支援し、(ぼーっとニュースを聞き流していただけだけれど)クーデター失敗に関連してアメリカが「ロシアによるマドゥーロ政権支援」が原因だとみなしたのか、ロシアを内政干渉だと非難し、ロシアは逆にアメリカの方こそ内政干渉だと非難した。

単純に考えて、故郷を離れた難民(日本語のこの呼び方、なんだか好きじゃない、「避難民」と呼ぶべきで、原発事故で故郷を追われた人たちと立場的には全く同じだと思うんだが)が発生している限り、故郷に住み続けるのが困難だと判断する原因を作った政権は、国際社会から批判されても仕方ないんじゃないかと思う。その文脈で、ベネズエラの問題については、私個人は、アメリカの介入は、現地の人たち(既得権益層以外の方々)には歓迎すべきことなんじゃないかと思う。

構図はかなり単純な気がする。「既得権」を維持したり、拡大するためには、「既得権を持たない人たち」からさらに搾り取ることになり、その結果住みにくい社会になる。そうした人たちが「民主化」を叫ぶと、おおむねアメリカなどはそうした「民主化勢力」を支援する。そうすると、「既得権の代表」みたいな国家元首は、「反米」であるロシアや中国に擦り寄って、ロシアや中国は(まぁ、アメリカよりも自国を選んでもらったら、国際的にも親派が増える訳で、乗らない手はないんだろうが)当然、その「既得権層」を支持する。武器も提供するだろうし、「恩」を売って反米の仲間を増やそうとするのか。

ところが、パレスチナなんかでは、「避難民」側から見た構図が逆転する。アメリカが既得権層を支援する側に立っている。よくわからんが、イランなんかは、その構図に巻き込まれているような気がしないでもない。

アメリカとロシアの「代理紛争」が世界中にどれだけあるんだろうか。「民主化」の流れに逆らって、頑なに既得権を手放そうとしない多数の国家元首を、ロシアなどは割と条件反射的に支援しているように感じるが、なんだかプーチン大統領もソビエト時代の「残像」に縛られているような気がする。「反米」であることに、一体どれだけ意味があるのか。中国の場合には、あそこは「民主」国家じゃない。中国が覇権主義を捨てるなんてことは、そう簡単には想像できないけれども、ロシアは、中国よりも遥かに民主化の程度が進んでいると思う。(プーチンさんご自身が、既得権に居座っていて、民主的な選挙を妨害している感じはするが、)例えば、ベネズエラにしても、シリアにしても、民主化という大きな潮流の中で舵を切って、「圧政を行う政権は支援しない」側に回ることはできないものかと思ってしまう。
無論、冷戦時代からの「親ソ」としての長い付き合いで、今更、寝返ることはできない、今更「友好関係を覆す」ことはできない、という仁義みたいなものもあるんだろうけれども、ただ、今の世界規模の「情報共有」の潮流の中で、ごく一部の人だけが潤うような「既得権」層の支持を続ければ、今ロシア全体が民主国家として成熟しようとしている流れに逆らう、というよりも、ロシアという国そのもののイメージを大きく損なうように感じる。

電気系の人でないと比喩が通じないかもしれないけれども、電気回路ではオームの法則というのがあって、電流は抵抗に反比例する。社会には「変化抵抗」というのが存在し、「こんなに便利なものができた」という事実を知ったとしても、「今までの習慣を変えたくない」という心理的な抵抗があって、そのために、すぐには「いいきっかけ」が変化には繋がらない。特に、既得権益が大きければ大きいほど、社会の変化抵抗が大きく、変化の流れは微々たるものに留まる。ということは、圧政が展開する国で変化を起こそうとしたら、従来の既得権を無効化するような、気の長い取り組みが必要なんだろうけれども、現在の世界規模の「情報化」とか「グローバル化」は、その現象自体が既得権を壊すための武器にもなる、と自分は思う。今、社会そのものを変えるためには、絶好の「時代」なのかもしれない。無論、情報技術そのものがいずれ「既得権化」する可能性はあるし、GAFAなどはすでにそうなりつつあるかもしれないけれども、「対抗するサービス」を立ち上げて、成長させるスピードも、ちょっと見た感じ、信じがたいほど速い。何れにしても、ものすごい流動化が起きている。

願わくば、ロシアにも変わって欲しい気がする。昔のように、国連の議決で「親ソ」の票を投じてくれる国の数を増やすことよりも、ロシアというのはいい国だと思ってくれる、特に「ソビエトの存在」を知らない世代の、そういう若い人たちが世界中に増えることの方が、ロシアという国家の長期戦略に有利なんじゃなかろうか。未だに「冷戦」時代の意識から抜け出せていないような気がする。

「既得権益の堅持」も過ぎると、国民への「犯罪行為」になってくる。それが極限まで行き着けば、どこかの国とか、さらには、イスラム国とかボコハラムみたいな、もはや「行政」というより「犯罪集団」としか言いようがない様態を呈してくる。まさか、ロシアだって、ボコハラムまでは支援しないだろうと思うが、「自称平和を愛する一般人」なんて括りに属しそうな私なんかの目で見ていると、ロシアによるベネズエラ支援、シリアの政権支援は、ボコハラム支援に結構近い。

もう、「内政干渉」と声高に叫んでも、聞く耳を持ってもらえない時代になりつつあるような気がする。

ただ、この「内政干渉」の話題は厄介で、日本も確か、国連の人権委員会だったかに、「女帝を認めないのは、男女差別だ」とか指摘された気がするなぁ。政府は「内政干渉だ」とか反発したけれども、他人に指摘されて軌道修正するのが嫌ならば、自分から動く方が賢明だという気もする。

「勉強しなさい」なんて親に言われると、「今やろうと思っていたのに、やっぱりやめた」みたいに口答えする。(いや、かつての私のことです。)「干渉」されるのが嫌なら、先に動くに限る。