スプリンターネット

インターネットはスパイ行為の道具じゃない。
もっとも、どんな技術も、どんな道具も、悪意のある人間が使えば悪事の道具になる。
遮断は、止むを得ないと僕はおもう。

インターネットが分裂の危機…中国の「グレート・ファイアウォール」に対抗、アメリカは「クリーン・ネットワーク」
https://www.businessinsider.jp/post-218095

グーグルの元CEO、エリック・シュミット(Eric Schmidt)は、我々の知るインターネットは将来分裂すると予測している。

「最もありそうなシナリオは、分裂ではなく中国主導のインターネットとアメリカ主導のインターネットへの分岐だと思う」と2018年にシュミットは述べた。

インターネットは、国単位で分割される「スプリンターネット」になりつつある
https://www.newsweekjapan.jp/hatta/2019/03/post-6_2.php

私自身は、「分裂」ではなく、「世界」は一つにつながったまま、あえて「情報鎖国」を選ぶ国々が、孤立した状態で点在する、そうしたモデルになるような気がする。
その根拠は、ISOのOSI, International Standard Organization の Open Systems Interconnectionの7曹モデルの構成で、確かに、トランスポート層のTCP/IPのレベルでは、物理ネットワーク上の接続先に、IPアドレス指定だけでつなげられるけれども、その下には、光ファイバーなどの物理層が存在するためで、物理層の接続がなければ、どこにもつなげられない。もし、中国主導のインターネットを世界規模で構築しようというのならば、今存在する光ファイバー網で、アメリカや、欧州、日本などが敷設して管理している光ファイバー網を使用せずに、自前で光ファイバーの敷設工事を行うか、光ファイバーではなく、通信衛星でも打ち上げて、電波で繋ぐか、いずれかしか手段がないように思える。

アジア、アフリカ、ヨーロッパに跨がって、「一帯一路」に沿って光ファイバー網を新たに敷設する、当然、中国主導でその工事を行う必要があると思うけれど、果たしてこれからそれができるか。アメリカや、西欧諸国の通信インフラを使わせて下さい、でも、パケットは全部中国が管理します、そんなことができるだろうか?もちろん、これから急ピッチでファイバーの敷設工事を進めるんだろうけれども、日米欧では今でも急ピッチで「回線容量」の拡大を進めているのではないだろうか。アメリカ中心の側が「これまで」蓄積してきた水準の通信容量を確保するための光ファイバーを、中国が独自に敷設し終えるのが、何年先になるか。ようやっと現在の水準で対抗できるように敷設し終えた頃には、日米欧の物理的インターネットインフラは、さらに将来の通信需要を賄えるまでに拡大しているとも思える。

逆もあるんだろうか?日本から欧州に接続する際に、大陸を横切るようなケーブルが敷設されていて、それを使っていたりする?調べていないのでわからないけれども、こうした「インフラ」の蓄積は、新興の中国にはまだ不十分のような気がする。だから焦って、太平洋のせめて、南沙諸島あたりの制海権を主張したりしているのかも知れないけれども。

例えば、中東の某国が、国民の国外サイトへの接続をブロックすると、したとする。それでももし、中国を中心とした CGW (China – Governing – Web)のような、WWW (World – Wide – Web)との対立軸のネットワークが出来上がり、そこに接続しようとしたなら、中東から中国までの光ファイバーの敷設を行う必要がある。もしくは、新たに通信衛星を打ち上げる。(光ファイバーと、通信衛星とで、通信容量がどの程度違うのか、私は知識がないけれども、直感的に言って、コストパフォーマンスは3桁とか4桁違うんじゃなかろうか。)そうまでして「分裂」させて、一体何を送るのか。朝から晩まで、中国共産党のプロパガンダ番組だけを流す?誰が見るの?ってことは、大した通信容量は要らない?

むしろ、WWW (World – Wide – Web)側が、「世界を一つにする」理念を持ち続けるならば、発展途上国などにむけた「web教育番組」などを多く無償で提供して、教育インフラの不十分な国々への支援を強化することで、少なくとも「民主主義」的な世界の発展の速度を引き上げることは可能ではないかと思う。逆に、 WWW側から離れて「情報鎖国」し、海外の情報を国民に触れさせない、そうした国々の知識水準は、10年、20年の間には挽回不可能なほどの開きを作ってしまうと思える。

例えば、こんなニュースもあった。

中国、科学論文数で首位 研究開発でも米国と攻防
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62428000X00C20A8SHA000/

日本はねぇ・・・、安倍総理が数年前に、「基礎研究には金を出さずに、すぐに産業界につながる応用研究だけに金を出していく」と公言していた。当然のことながら、10年もしたら、ベスト30に残れたら「よくがんばった」っていう感じになりそうな気がする。それはともかく。

中国は、これらの「科学技術」に関するサイトについては使わせているのだろうか。共産党に都合の悪いコンテンツを含むものはブロックする。世界はそれを容認してきた。今後も容認するのか、ということになると思う。

もし、今後も「共産党批判」はブロックし、検閲し、科学技術関連は接続を容認し、なおかつ、ブルートフォースで全世界のサーバに攻撃を仕掛けるのにも、日米欧などが敷設した光ファイバーを使う。そんな状況は容認できない、となったならば、トランスポート層レベルで、中国のゲートウェイとの接続を遮断する、WWW の IPのリストから、中国のゲートウェイの IPを削除する、そうした措置だってあり得ると私は考える。

そうなったならば、中国国内の科学者が、サイエンスやネイチャーなどの学術誌をwebで閲覧したり、研究者の交流サイトに接続しようとしてもできない、科学技術の研究を行おうとしたならば、中国本国を離れなければならない、そういう結果になると思う。国際学会の参加申し込みは、郵送。それが、スプリンターネットの世界だと思う。

そもそもが、中国のスパイ活動、さらにはサイバー攻撃などが目に余るから、あるいは、都合の悪い海外の論調は、一切国民に触れさせず、新疆ウイグル自治区の出来事も国民には知らせない、それらが目に余るから、こうした「クリーン・ネットワーク」という発想が出てくる。中国に対抗するために、中国のIPを実質的に切断する。中国とアメリカとでは、もはや電子メールの送受信もできないし、銀行間の送金もできない。文書ベースでの送金しかできない。仕方ないと思う。

どこまで、ネット接続に「穴」を開けるかは、政治の問題だと思うけれども、あまりにも犯罪性の強いネット利用ばかりが目立つ以上は、それが「世界の分断」につながる結果になったとしても、一旦、中国のネットワークをインターネットから切断することは必要だと、僕は考える。

すみません、相当に過激な主張だとは理解していますが、サーバーを管理していて、中国からの不正接続要求があまりにも多いので、プッツンしています。

次は、ロシア、次は、イラン を切断してもいいと、僕は思う。あとは、中国とロシアとイランなどで、自前で光ファイバーを敷設して、三国同盟か何かでやってくれたらいいんじゃないかな。仲良く、どんなコンテンツをやりとりするのか、想像したくもないけど。